今なお視察者の絶えない要田中学校を会場に三春町方部の研修会を開催しました。敷地内の紅葉が秋の陽差しにとても鮮やかで、それだけで何かホッとした気持ちと新しい発想とが湧いてくるようでした。
家庭科室を利用させていただきましたが、一般家庭のキッチンのようで、みんな和やかにまずコーヒーをいただきながら最初の研修へと移っていきました。
○方部別研修カリキュラム「他校見学」
まず初めに要田中学校の概要などをお聴きし、続いて財務事務運営、文書管理事務改善の経過などについて報告があり、各校の取り組み状況や課題、今後の計画等について情報交換を行いました。
財務事務関係では、保護者負担の諸会計運営について、全て事務職員が担当して一本化し、校内会計取扱要領に基づき適正かつ効率的にすすめている運営状況等の説明がありました。
他校においても一定の体制こそ整えながらすすめてはいますが、学校の規模、金融機関の違い、徴収する経費の種類や趣旨・地域事情も含めて異なるため、独自の工夫をしながらすすめている現状があります。こうした情報交換の中で得られるものは少なくなく、それぞれの取り組みに活かされていくことと思います。
一方、文書管理事務関係では、地区内での実践例などを参考に独自の文書分類表・基準等を整備し、現在はフラットファイルを利用したかなり細かい文書管理を行っています。もちろん一朝一夕にはできないことで、然るべき期間はもちろん担当者の並々ならぬ努力による成果だと思いました。現在は集中管理もかなり定着してきているとのこと。
他校では、分類表を定めずに運営している学校もありますし、分類表こそ整備しているものの、文書事務担当者だけでは思うようにいかないというのが一般的な現状で、できれば何か標準的な文書管理の方法が示されることを望んでいるようでした。
そこで、校務センター(職員室)に移動して、実際の文書ファイルを手に取って見ながら管理状況についての説明を受け、また各校での工夫なども出し合うなど情報交換をしました。
さらに、研究経過を遡るように旧い文書が保管してある場所に移動して、保管・保存の手順や方法、スペースの在り方などについて考え、同時に校舎全体を一回りしながら、施設面での課題等についても各校の状況などを知ることができました。特に三春町はオープンスペースや教科型教室など、独特な校舎が建築されており、それ故に抱えている課題も少なくなく、解決とまではいかなくてもお互いにとても参考になったようでした。
屋上にも出ることができましたが、校舎の持つ独特の雰囲気、開放感、眺めの良さなどなど、羨ましくさえ感じました。
会場に戻り、改めて次のような文書管理のポイントを中心に研究協議をしました。
(1)分類が必ずしも適正であるとは言えない
(2)保管から保存、廃棄までのプロセスが確立されにくい
(3)環境が違う中でのミニマムスタンダードな管理方法とは
先に実施したアンケート結果を踏まえながら、まず統合を控えている中学校について、既存の型にとらわれないフレキシブルな三春町小中学校独自の規程及び分類表の作成を目指すことを確認しました。また、町が導入している文書ファイリングシステムを大いに参考にすることも一案として提案されました。
文書研究班だけでなく全体で多くの考えを取り入れて活動をすすめ、文書管理システムのビジョンを明確にしながら、学校という環境に適した使いやすく完成度の高いものを目指していくことが大切だと思います。
○班別研究協議
文書、備品、財務の課題班別に分かれて研究協議を行いました。概要のみお伝えしますが、文書についてはおおむね前述のとおりですので省略します。
[備品]
教育委員会のファイル共有サーバを利用して、データベースによる管理をしてきましたが、共有サーバでの運用はファイル破損のリスクが高いため、一定の環境が整うまでは各校のコンピュータで管理することを確認しました。
また、田村市における「学校備品整備要領」を参考に三春町版を作成し、教委と連携しながら制度化を目指すこととしましたが、今年度はその整備要領について学習を深め、改めてより良い方向性を探っていく予定です。
備品の定義、廃棄手順、見積り合わせなど契約の手順などについても、教委担当者と協議しながら共通理解を図る必要があります。
[財務]
学校財務事務要綱および公費私費負担区分の制定、校内財務会計システムの作成を目指し、おおむね3年を目処として研究をすすめていくことを確認しました。
財務事務要綱については、すでに整備されている他市町村の資料も参考にしながら、その目的や意義についてまとめ、公費私費負担区分も基本的には同じく並行してすすめ、年度末には課題の整理を行う予定です。また財務会計システムについては、田村市内の小学校と県事務研の資料を参考に、これら3つの課題をセットにして提示したいと考えています。
そのために、特に公費私費負担区分などについてアンケート調査を行い、モデル案的なものを提示して協議を深めたり、財務規則そのものについての基礎的な研修を実施したりしながら、全体で研究をすすめていくようにできればと思います。
○感想
当日は他の研修視察者も訪れていました。施設設備などハード面もさることながら、我々はこうした実務的なソフト面の研修と両方できたことは、とても意義深いものだったと思います。
課題はそれぞれ違います。ですからものを見る観点も違ってきます。普段何気なく見過ごしていることもありますが、このような機会にこそ具体的な成果として捉えられることも決して少なくありません。学校現場での研修が最も効果的ではないかと改めて感じさせられました。
一人職ではなかなかOJTにつながりにくいものですが、わずか数時間顔を合わせ現状等についての情報交換をしただけで、サッとひらめいたこと、勇気づけられたこと、考え直すことができたこと、得るものはたくさんありました。小さくてもそれぞれが新しい取り組みを始めたことと思いますし、それらによって「やりがい」を感じることも多分にあるでしょう。現場での研修がいかに重要かということです。
学校事務は今さらなる連携が必要です。事務運営の要として学校にいることも重要です。こうしたところから新しい連携と研修のスタイルが見えてくるような気がします。
[橋本]
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