宮崎は今 パートⅢ
-学校管理運営規則等の改正をとおして、これからの学校事務職員の存在意義を考える-
(宮崎支部)
第7分科会では、宮崎県小中公立学校事務研究会(以下宮事研)より「学校力」をキーワードに、職の確立や学校管理運営規則改正、事務職員の存在意義と大きく次の3つについて発表されました。
まず職の確立では、そのきっかけとなったのが「21世紀を目指す学校事務開発事業(平成4年に宮崎県の事業として策定され、宮事研で研究委託をうける形で始まる。3年間で1千万円程度の予算措置、延べ2〜3百人が研究にかかわる:以下21事業)」です。県教委事務局へ人事交流で異動した元事務職員が中心となって、事務職員制度の諸課題について調査研究するPTを組織したことから始まり、全国大会に出席した県の担当者が、宮事研の研究力を評価した結果、認められたものです。
その成果として、平成8年には県下全市町村で事務処理規定が施行され、職の確立、事務処理の標準・統一化が図られたのみならず、学校事務は学校の要となる体制を構築することができたというものです。その当時の関係者は学校事務が事務職員の事務ではなく学校の事務になったと表現していたとのこと。これにより、事務職員の意識が大きく変わり、また、周囲からの評価を高めることとなり、その後の学校管理運営規則の改正等に影響を与えていきます。
平成13年には、地教行法49条の削除により各市町村で独自に管理規則を制定することとなりました。宮事研では当初独自案の研究を行っていましたが、より実現性の高い方法として、平成12年に設立された地方分権推進協議会において提言することへ方針転換し、この提言が指針となった3つのモデル案が、平成13年には県教委より市町村に提示されました。
その後も市町村事務研が中心となり、各市町村教委と連携して管理運営規則の改正が行われました。改正・改善箇所は市町村事務研間で共有され、バージョンアップされた管理運営規則が制定されていくことになりました。
このように、事務研という組織において多くの事務職員が参加し、そのネットワークを駆使した結果、研究の成果を行政に反映させることとなりました。事務職員の存在意義では、これらの活動から教育現場と行政の二つのノウハウを持った事務研(事務職員)活用は有効な課題解決手段であり、今後は制度的基盤整備後の実践定着、管理運営規則改正等において培った、信頼に基づく学校事務改善委員会等の設置などによる改善システムの確立をすすめることが必要になります。
地域の教委行政や学校運営に参画・貢献することにより教育行政を高める存在となる、これからも取り組んでいきますということでした。
助言者の藤原准教授からは、40年間の全事研研究は自分たちをもっと利用すればこんなに良くなるという熱意の連続だった。今回の宮崎のようにチャンス(21事業)を見逃さない。やってくるときにつかまえないと追えない。実践(存在意義の言語化)は大事である。教育と経営のプロセスに関与しているという強みをぜひ生かして研究してほしい。今回の発表のように、実践自体が経営に密接に近く、切り離すことはできず、だから学校にいる。学校事務が高度化していく中で、全員への事務主任発令は難しく、今後は周囲でどのようにフォローしていくか方法を考えてほしい、という助言がありました。
ここからは感想ですが、今回の宮崎の実践に似たことが田村地区内においても実施されています。町事務研と地教委の連携や改善委員会設置がそうです。取り扱う内容が管理運営規則ということで違いはありますが、現在の形を発展させていけばできないことではないと感じました。
しかし、事務職員に対する周囲の理解や事務研間の連携(ノウハウの共有)などで環境は若干違います。また、タイミングということもあります。既に各市町村において管理規則は制定されており、それぞれを大きく変えることは困難です。ただ、いま与えられている課題を着実にこなし、大きく変えようと欲張らず少しずつ成果を出していけば、実践の結果としての存在意義につながっていくと思います。
[鹿又]
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