ご存じのとおり、この4月学校教育法が改正され、学校事務職員の職務が少し変わりました。いや、職務「に関する文言」が少し変わりました。の方が正しいような気もします。当の学校事務職員は少なからずそうした意識で取り組んできたことでしょうから。
でもやっぱりどう感じどう考えるかは人それぞれ。私もいろいろ思うところはありますが、そこだけを考えたとき自分なりにストンと落ち着くような考えに至ったので、ちょっとお話しさせていただくことにします。あくまでも自分なりの考え方ということで。
まずは「従事する」と「つかさどる」との違いについて。
【従事する】
ある物事に関係して、それを仕事としてつとめること。たずさわること。
【つかさどる(司る・掌る)】
その官の職分として行なう。役目としてその仕事をする。担当する。
国や人を支配する。統轄する。管理する。
ざっくり言えば、これまでは「学校に関する事務の仕事にたずさわる」ことでしたが、今後はその学校事務を「管理・統括する役目としての仕事をする」ようになったということでしょう。よく耳にし口にしていた「アドミニストレーション」や「マネージメント」という言葉に置き換えられるかと思います。
「司る」でパッとひらめくのが「司会」という言葉。これは中国周の時代に天下の会計を担当した官名だとか。会の進行役でもありますね。一方の「掌る」には「掌記」という言葉もありまして、簡単に言えば書記、そして文書の作成や事務の記録などにあたるという意味があるそうです。
つかさどる、司る・掌る、学校事務、なるほどそもそも‥‥と感じるところが少なくありません。
さて、自分がもうひとつ注目してみたのが「に」と「を」というそれぞれの助詞なんです。
【に】動作の及ぶ方向や目標を示す。
【を】動作の主体を表す。
事務に従事する。事務をつかさどる。ここでは続く動詞が同じではないからそのまま比較するのもどうかと思いますが、「に」はやや主体性に欠けるような気がしますし、「を」はどこか積極性があり主体的に感じます。
クルマ「に」乗る。クルマ「を」乗るとは言わないですね。
クルマ「を」運転するになります。クルマ「を」乗りこなす。もありかな。
そうなんです。クルマを運転する、のです。全て運転手に託される、それくらい重いことなのかもしれません。
クルマに乗る、電車に乗る、乗っかっていくのはそりゃぁ楽なもんですよ。人任せ。乗ってしまえば、あとはしばし我慢しているとやがて目的の場所に到着するのです。
逆に運転するのは責任重大だしつらいもんだけど、でも操作する、操縦する、好きなように道を選んで寄り道してスピードも上げ下げして、全てに気を配らなければならないのですが、疲れたら休んで、その方がずっとずっとわくわくしませんか。まぁどっちを選ぶかはその人次第なんだけど、今はもう後者であるよう決められたわけです。
仕事「に」行くんじゃなく仕事「を」するのです。微妙だけど全然違いますね。いつだったか「1平米の安住の地」なんて言葉にハッとさせられ、考えさせられたこともありましたが、もう学校全てが我々の机であると認識して、係る学校事務を主体的に掌理していかなければならない、ということなのです。
このように「に」から「を」へ学校事務は変わっていくのだということを考えて、自分はちょっと落ち着いたような気がしたわけです。
これにより学校事務は一層専門性が高まるだろうと思っています。しかし、誰でも同じように「つかさどる」ことができるかというとそうではありません。やはり年齢や経験による違いは如何ともし難いものです。それでも各層に応じた責務を果たしていくことで、学校事務は一層の確立を見ることでしょう。
だからこそ、我々は研修も研究も粛々と進めていかなければならないと思うのです。全てではありませんが、支援プラン・研修・研究の各ステップアップシートにはつかさどるべき学校事務の領域や視点が明示されています。アドミニストレーションの観点。連携プランには、取り組みや手立てや人の連携の在り方についてポイントがまとめられています。マネージメントの観点。
そしてまたこれも同じことの繰り返しなのですが、学校事務を学校事務職員だけのものにしないで、これまで以上に広く考えていかなければなりません。広く伝えていくこと、広報の取り組みもさらに重要になってくるのだろうと思います。PR、パブリック・リレーションの観点も忘れてはなりません。
これまでどおり、自信を持って我々の活動を推し進めていきましょう。
会長 橋本広治
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