金木犀の香りがどこからか漂ってきます。季節は確実に巡りめぐっています。穏やかな自然の流れは心も体も落ち着かせてくれますが、一旦牙をむくと為す術がなくなるのもまた自然です。
今回の豪雨は各地に甚大な被害をもたらしました。テレビから流れる映像は、3.11・東日本大震災のそれを思い出させるのに十分で、恐怖さえ感じました。一日も早い復興を祈りたいと思います。
それでも秋はやっぱり実りの秋であり食欲の秋、読書の秋で芸術の秋、何をやるのにもとても良い季節です。
芸術の秋といえば、瀬川小学校で5年目となる「書の芸術体験」があります。新潟県加茂市在住の書家「泉田佑子先生」をお招きして、学校で指導する「書写」の時間とはちょっと違う「書」を学び体験します。
毎年学校の要望と先生が伝えたいテーマを元に授業は進みますが、子ども達は、いろいろな筆を見たり、どんなものでも筆になることを学び「稲穂」や「紐」や「草」などで実際に書いてみたりします。「うずまき」や「へのへのもへじ」を書いて筆に親しむところから始まり、何でも書いていいことを体験しながら、何枚か書き続けているうちに笑顔になっていきます。
体育館に広げられた 130×130 の大判の用紙に躊躇なく書(描)かれる先生と子ども達の作品はみごとです。これまでの書の芸術体験で必ず講師の先生が、子ども達に伝えてきた言葉があります。「夢を持って生きることの素晴らしさ」と、その夢を実現させるためには「自分を好きになり自分を大切に思うこと」です。数々の挫折も味わってきたことも話されます。
昨年は「夢を言葉にして伝えよう」というテーマで、大きな掛軸を作り、フェスティバルには体育館ギャラリーに展示してそれぞれの夢を多くの方に見ていただきました。
今年は、「自分を象徴するシンボルマークを書で表現しよう」です。自分の名前の由来や使われている漢字やひらがななどをモチーフにして表現します。一枚の紙に書かれる自分自身を最大限に表す作品がどんなものになるのか今から楽しみです。
自分の存在に自信を持つことで他人を大切に思えるようになり、協力者が現れて夢が実現していくというストーリーで進められるということです。
泉田先生の生き方や姿勢がとても素敵で、校内に掲示された「筆一本で世界をむすぶ」「書いて書いて書いて書き続ける一本道を歩む」の作品から、夢を言葉で表現し実現させて行こうとしている先生の意気込みと気迫を感じます。
芸術の秋、私も何か打ち込めるものを見つけなければ・・そんな秋です。
会長 林 みどり
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