■学校事務連携シンポジウム・これからの学校事務連携のあり方を考える
〜「学校事務の共同・連携実施に係る実践」をとおして〜
ほとんど単数配置である学校事務職員。事務処理や課題解決の知識や情報も属人的になりかねない。学校規模等による職務内容の大きな差異など、抱える課題もさまざまである。
県事務研では「学校事務連携モデル」を研究成果として示す一方、県教委では平成30年度全県下実施を目指して、平成25年度から「学校事務の共同・連携実施に係る実践研究」の試行に踏み切った。
本シンポジウムでは、連携実施校の取り組みについて報告を受け、これからの学校事務連携のあり方について考える。
県事務研・研究推進委員会をコーディネーターに、県内2つの連携グループから取り組み状況等の報告を受け、次の各シンポジストからさまざまな意見等が出されました。また会場からもいくつかのグループの報告があり、全体でその成果や課題について考えることができました。
・県教育庁義務教育課管理主事 佐藤 浩哉 様
・県小学校長会広報部長 佐藤 秀雄 様(福島市立大森小学校長)
・三春町連携グループ長 橋本 広治(三春町立三春中学校主任主査)報告
・西郷村連携グループ員 泉 紀子(西郷村立熊倉小学校主査)報告
・ 同 グループ員 加賀谷みゆき(西郷村立川谷中学校主査)報告
・福島地区事務研会長 平塚 恒二
・福島県事務研副会長 斎藤 浩明
ここでは、三春町の実施概要と全体的な感想等について報告します。
三春町では以前から教育委員会主催の「町小中学校事務改善研究員会」として、各校の課題等について町全体で取り組んできました。平成25年度開校を目指し町内5中学校のうち4中学校を統合する計画により、平成22年度には開校準備委員会が設置され、全事務職員で組織される庶務部会もその中に位置づけられました。事務改善研究員会の取り組みをそのまま庶務部会に引き継ぎながら、新しい統合中学校づくりにシフトした形となりました。
25年度開校と同時に共同・連携実施がスタートしましたが、全校の事務職員が町教委とも連携しながら学校事務の課題を共同的に考えていくという下地ができていたため、それまでの取り組み方を基本としながら、おおむね継続的にすすめることになりました。
現在は、
(1)フォルダとキャビネット利用による文書管理
(2)就学援助費・奨励費の支給と学校諸会費
(3)共同ですすめる事務だより、実践状況報告
(4)各校の実践状況視察等相互支援研修
などの課題を中心に取り組んでおり、これまでの事務研的な活動と大きく変わるものではありませんが、専門性や機能強化への即効性こそ少なくても、地域全体で確実に底上げを図ることができるのではないかという期待感があります。
三春町の学校数は、統合前の11校から8校になりました。ひとまとまりで動く・考えるのに適した規模だと感じています。課題を共有しやすく、具体的な実践も無理に広げることなくじっくりと取り組んでいけるように思っています。
10校プラス・マイナス数校というのが、共同・連携実施をすすめるうえでの目安と考えてもいいのではないでしょうか。そのような小さなグループ間の連携もいずれ模索されながら、さらに広い範囲での目標実現に向かうのだろうとも考えられます。そうして福島の共同・連携実施が成熟していくことを期待しています。
共同・連携実施を単純に業務の集中処理の機会と捉えると、事務職員は居場所を失いかねません。我々にはそれぞれの所属する学校があり、各校の目標達成に向かい全教職員のチーム力であたっています。
一方で、一人職故に経験や視野が狭くなりかねないなどの課題も抱えており、研修の必要性・充実化も望まれているところです。外側での研修の成果を内側である学校運営等に反映させていくことが重要であるということです。
三春町ではこれを「じくあし」と考えています。各校が抱える事務のさまざまな課題を町内全体で共有してより質の高い学校事務を目指し、そのために相互支援を意識しながら一歩足を伸ばすような広い範囲での取り組みをすすめ、その成果を共に分かち合い軸足たる各校にどんどん反映・定着させていく。
もちろん事務職員だけでは実現できません。全教職員そして教育委員会との連携も図りながらすすめていく、そんな共同・連携実施を目指していきたいものです。
[橋本]
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