去る5月27日、福島県公立小中学校事務研究会総会に先立ち、役員及び代議員等の研修会が開催されました。自らの意識改革、質の高い学校事務の推進、学校教育の充実と発展に向けた講演・講話が企画されましたが、以下、研修Iと研修IIとに分けて概要をお伝えします。
研修Iは、「学校事務職員の学校経営参画へのアプローチ」と題し、静岡市公立小中学校事務職員会のお二人から講演をいただきました。講師のお二人は、本年2月に開催された東海地区公立小中学校事務研究大会羽島大会第1分科会の発表者ですが、その内容を要約した3部構成によるお話しでした。
第1部は、学校経営参画の取り組みと課題についてです。
「学校経営に参画すること」とは、普段の教育活動で教員と関わり事務職員が持つ力量を発揮することであり、学校徴収金に関する改善や家庭科調理室の改修を例に、各校での具体的な取り組みが紹介されました。
学校経営に参画することは事務処理の効率化・明確化につながり、教員の負担軽減を推進すること。また、透明性や正確性が高まり学校への信頼が高まること。つまり「事務職員が学校経営に参画することで、学校の教育力が高まる」という内容でした。
しかし、各校で取り組みを進める中で、事務職員個々では越えられない次の4つの課題が浮かび上がってきました。
(1) 経験や年齢など事務職員の個人差
(2) 事務量の増加、内容の多様化
(3) 市費負担事務職員の非常勤化
(4) 県費負担事務職員の世代交代
第2部は、静岡市の共同実施についてです。
静岡市の共同実施の特徴は、市内が12支部に分かれそれぞれの自立性を重視していること、共同実施の業務内容に「学校経営に参画すること」があること、市教育委員会が主体的に実施していることなどです。
前述した課題解決に向け、OJT、組織的運営、担当制など共同実施の特性を活かして取り組んできた結果次のような効果が得られ、「事務職員の学校経営参画を推進するために、共同実施は有効な手段である」ことが分かったとのことです。
(1) OJT効果により事務職員の資質向上が図られる
(2) 各校で事務職員の学校経営参画が支援される
(3) 各校で事務処理体制が整備される
(4) 学校経営参画の質の平準化が図られる
第3部は、未来の姿を描こう!です。
「これからも学校という場で仕事をしたいですか?」と会場へ問いかけがありました。学校事務とは学校における直接活動以外の全てを言います。しかし、直接活動と学校事務とは切り離せるものではなく一連のものと捉えられ、「学校事務も教育活動」と考えることができます。
共同実施を活用し機動力を備えた動きは、事務職員の役割を一層拡大するものと予想されます。直接指導とのつながりを意識し全教職員と協働することが教育活動の充実につながるのです。という結びで講演が終了しました。
学校長や教務主任、経験年数の浅い事務職員などへのインタビューを交えながらまとめたプレゼンテーションにより、事務職員が共同実施を活用しながら学校経営に参画している様子がよく分かり、学校事務も教育活動であることを強く感じることができました。
[遠藤]
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