引き続き「平成19年度福島大学現職教職員研修講座」の様子をお伝えします。
第2日目・8月10日(金)は3つの講座がありました。それぞれ次のとおりです。
■自己課題を生かした研修・研究をどうすすめるか
講師:田村郡三春町立桜中学校・橋本広治氏
学校事務職員それぞれの課題をどのように捉え、どのように取り組んでいるか、田村地区小中事務研究会の取り組みを例に、今後の研修・研究の在り方などについて考えるという講義でした。以下自分たちのことではありますが‥‥。
社会も学校を取り巻く環境も大きく様変わりしてきた今、田村地区では組織や活動の見直しをして、今年度から新しい体制での活動に臨んでいますが、まず委員会活動を中心にその経過等が紹介されました。まとめる活動(研修委員会)、すすめる活動(研究委員会)、つたえる活動(広報委員会)を、つなげる運営(事務局や市町単位の組織など)で強化しながらすすめていくということです。
見直しをすすめた結果、「学校事務の夢をかたちに」という活動テーマに迫るための目標が浮かんできました。
・事務職員の相互支援‥‥会員ぐるみの活動推進
・教職員全体での事務運営‥‥ビジョンの具体化
・学校事務の確立‥‥学びや育ちを支援する学校事務像
これらは全て「連携」ですが、これを学校事務だけでなく学校全体の課題にして、学校運営全体をみんなで考える取り組みにつなげていくことが大切だと考えています。
いずれにしても、事務職員ひとり一人、あるいは学校ごとの課題はさまざまで、そのレベルを合わせていくことは極めて困難です。逆に、個々の取り組みを相互にサポートし合いながら、組織的にマネージメントしていった方がボトムアップにつながります。
そのために、田村地区では「研修・研究ガイドライン」を定め、研修の体系化を図りながら「カリキュラム研修」や「主題別研究」をすすめたり、「情報化すすめ方プラン」を策定して「PCスキルアッププログラム」によるコンピュータ実技研修なども体系的にすすめています。さまざまな「プログラム」を定めることにより、短期的にも長期的にも目標が明確になり、自主・自律意識の高い取り組みが期待できると考えています。
特に「主題別研究」は、2年を目処に目標を達成するような計画ですすめていますが、無理のない程度の目標にして、小さくても確実な実践を積み重ね、一定の達成感も味わいながら、着実なステップを踏めるようにしていこうという取り組みにしています。
また、広報活動の在り方も見直し、内側だけでなく外側に向けた取り組みにも力を入れることとして、この「たむら事務研ちょっとニュース」をスタートさせました。概要ではありますが我々の活動を広く伝え、理解していただき、たくさんの方々にいろいろな意味での「応援団」になっていただきたいと考えています。もちろん自分たちにとっても個々の改題意識へとつながっていく重要な取り組みです。
地区事務研にとって大切なのは、それぞれの課題に応じた実践的な取り組みであり、それらを組織全体のものとして束ね、強くつないで共有していくことです。そうして安定した事務機能を広域的に提供していく取り組みに結びつけたいと考えています。
昭和58年、私が田村に転入したのと時を同じくして始まった、四半世紀にも及ぶ田村事務研の活動レールの上で、実に安穏としていた私でした。これほどまでに熱く田村の未来を考えていた皆さんに対していささか申し訳ない気持ちを抱きながら講義を聴いていました。
勤務校の条件(規模・施設等・人間関係等)や、事務職員自身の経験・性格等が全て違うのに、求められる仕事(あるべき事務職員像)は一つなのか。事務職員の会合に参加するたびに「私はこの人たちと同じ仕事をこなしているのだろうか」と、不安にさえなります。単に年数が経ったから‥‥では進歩はないのですね。これからは、意識的に事務研で勉強したいと強く感じました。
[NC]
■これからの学校事務職員の在り方を考える
講師:岩手県岩泉町立小川中学校・高橋広道氏
岩手県で行われている共同実施の取り組みから、学校事務職員の力量をどのように高めて「やりがい」に結びつけていくか、その在り方などを考えるお話でした。
岩手県では、岩手県事務研からの提案で県教委などへ働きかけ、平成15年度の加配6名配置(共同実施組織なし)から始まり、17年度には県教委からの共同実施モデル案が提示され、18年度には全県において共同実施が行われているそうです。
岩手の共同実施の基本的な考え方として、「学校事務職員主導による共同実施」を掲げています。また、以前に比べて非常勤職員は増えましたが、それで充足したことも現実であり、正規職員の定数も崩れてはいないそうです。
個々の事務職員の努力にも限界があり、事務職員それぞれの個性・経験・環境・力量によって学校事務運営に差が生じたり、また積み重ねたものでも異動や環境によって再構築しなければならない場合もあり、事務改善・研究をすすめても定着が思わしくないという課題があるわけですが、これらの脱却を提起し、共同実施が始まったようです。
・「学校にいてこその学校事務職員の構築」と共同実施
・個々の事務職員の力量アップと事務職員全体の力量
今後これらについて、どのように実践していくかが課題であるとのことでした。
共同実施において、給与や旅費などの認定権限があってもこれからはいろいろな意味で頭打ちも予想され、その次へと課題をみつけてすすんでいるようでした。
福島県においても、学校事務職員の現状や今後の見通しを考えると、何らかの行動が必要なのではないかと感じました。
[MT]
■学校事務職員に期待されること
講師:福島大学客員准教授・大森俊輔氏
講師の依頼を受けたときのテーマは「学校事務職員に期待すること」でしたが、「学校事務職員に期待されること」に変えてしまったとお詫びから講義が始まりました。
校長としての願いは、「どの子も元気に登校し、元気に下校していく学校」という、ごくあたり前の学校を目指していくことであり、大切な子どもの心の命、体の命を預かっているということ、やがては独り立ちしなければならない子どものために「本当にそれでいいのか」という問いかけをすること、そして、気付く・考える・実行することを、全職員が一体となって取り組んでいくということです。
学校事務職員として、先生方へそして校長・教頭先生へどのようなことを期待するか、それを記入する用紙が配布されました。出された意見は、先生方へは「コスト意識を持ってほしい」「教材教具の積極的活用を」「明るく元気で」など、校長・教頭先生には「決裁は早く」「報告・連絡・相談を」「決裁の重さを理解して」など、誰もが一度は感じたことがあることばかりでした。そのどちらにも共通していることは「協力・理解・見通し」を期待しているということになるそうです。
「思いがなければ何もできない。思いだけではどうにもならない。」という言葉がありました。これは私が常に思っていることでもあります。家庭でもよく出てきますが、最近は職場でも多くなりました。
そのために、自分の学校の現状を把握・分析して課題を明確にし、適切な情報提供をすることができる事務職員、積極的な働きかけをし、管理職や先生方をその気にさせる事務職員になることを期待されながら、酷暑2日間に渡る充実した学校事務職員研修講座(冷房・学食も充実)は、幕を閉じました。
先生のユーモアたっぷりの講義にすっかりその気にさせられた私ですが、まぁとりあえず夏休みが終わったらやろうかな‥‥と思いました。そして現在は‥‥。
[KM]
コメント