急激に変化する天気も、夕方にどこからか聞こえてくる太鼓の音や花火の音にも、夏を感じる今日この頃です。学校は夏休みになりました。
先日行われた「学校事務助言」は、日頃の事務処理の仕方や書類の作成について確認していただく良い機会となりました。この時に感じたのが、名前より優先される職員番号がいかに大切であるかでした。考えてみれば、給与データの追加・削除等、修正の入力の基礎は職員番号ですね。
かつての職場に、自分が読んで面白かった本について話してくださる先生がいらっしゃいました。ある時は面白おかしく、ある時はリアルに話されるので、引き込まれてしまうこともたびたびでした。話を聴いて興味を持って、その本の原作を読んだものも何冊かあります。星新一の短編小説の中にある『番号をどうぞ』もその一つです。
ある日ボートに乗っていて、湖に落ちてしまい、クレジットカード・電話番号・免許証などの全てをなくしてしまいます。パニックとなり自分に関する番号の一つも思い出せません。家に帰るお金も無い。銀行で着替えを買うためのお金を借りようとしても、窓口で「番号をどうぞ」と言われるものの答えられず、「身分が証明されないので貸せません。」と断られます。ヒッチハイクをしても「身分証明書の番号がわからない」と答えると乗せてもらえません。いよいよ警察に保護を求めるのですが、番号がわからないからと保護してもらうこともできません。最後には‥‥。
自分を振り返ると、かつては学校関係の業者さんや友人の電話番号はかなりの数を覚えていたように記憶しています。携帯になってしまってから、アドレス帳に頼りっきりで覚えることをしていません。携帯をなくしたらパニックになってしまいます。職員番号や自宅の電話番号くらいはわかりますが、免許証の番号や口座番号は覚えていません。
この小説は30年以上も前に書かれています。時代がこうなることを予測していたかのような内容に驚かされますし、現代に警鐘を鳴らしているようにも思えます。
マイナンバー制度により、27年10月から一人ひとりに知らされることになり、28年1月からは各種手続きに「マイナンバー」が必要となります。社会保障や納税などに利用されますが、今後、医療や財産管理にまで広がるとなると、番号が全てとなりそうでとても不安になります。情報の流出も問題になっています。個人での管理もおろそかにはできませんね。情報のセキュリティ対策にも万全を期して対応してほしいものです。
暑い夏になりそうですが、涼しい部屋でゆっくりとお茶を飲みながら、星新一のショートショートを読んで『番号をどうぞ』の結末をぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
それでは、充実した夏休みをお過ごしください。
会長 林 みどり
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