県大会に向けた地区の取り組みのひとつ「事前研修会」について過日ご紹介しましたが、今回は実際の県大会分科会の様子をお伝えし、ひとつのまとめにしたいと思います。
それぞれの分科会の成果を持ち帰り、さっそく地区や各校での実践に移したいところではありますが、市町村あるいは各校のすすめ方の違いがあったり、地区事務研としての標準化の確認が簡単ではないことなど、どうしてもすぐには取り組めない現状があります。特に標準化という課題は最も重要なことなのですが‥‥。その原因・背景なども改めて考え直してみる必要があるようです。
では、事前研修会と併せてご覧いただければと思います。
■第1分科会
○会計事務システム化をめざして(研究推進委員会)
まだまだ標準化がすすんでいない県内小中学校徴収金の事務の現状を受けて、会計事務システム化の取り組みをとおし、新たな学校事務機能の研究を推進しているという内容の中間発表でした。
「学校徴収金取扱規程」や「校内会計事務処理手順」、「会計チェック表」、「監査チェック表」のモデル案が提示されました。これらは、学校徴収金事務処理適正化等の県教委通知の内容が含まれており、県内で標準化できるものになるのではないかと思われます。詳細についてはまだ不備な点がありますが、今後の研究課題として改善されるようです。
参加者からは次のような意見が出された。
・公費私費の品目を具体的に提示してほしい。
・事務処理手順に会計簿の作成例も入れてほしい。
・学校運営計画に入れてはどうか。
・「学校徴収金」という言葉はどうなのか。
・学校事務職員の役割を明記する。
・監査なども明記する。
・支出だけでなく収入のチェック体制も必要である。
学校徴収金会計取扱基準についての通知が出ている市町村、校内規程のある学校など、システム化に向けてそれぞれ実践しているようです。が、学校あるいは学校事務職員のすすめ方により会計事務のシステムが違い、人事異動時に戸惑ってしまう実情もあり、同じ田村地区内において会計処理の流れや事務職員の役割がさまざまであることなども、県大会事前研修で話し合われていました。
発表はそれらの標準化が目的であり、私もその定着が必要であると感じていますが、会計事務処理は各市町村財務規程等によるところも少なくないことから、モデル案としてどの程度まで標準化できるかが今後の課題ではないかと思います。
また、定着化が進まない中でこれをどの程度までシステム化すればよいのか、事務職員としての関わり方はどうすればよいのかなどの意見も出されました。これらは、学校徴収金取扱規程や、学校事務職員の役割・位置づけなどが確立されることによってはじめて校内での規程化に結びつくのではないでしょうか。
単なる会計処理のシステム化はできていて当然であり、その会計処理の中で係わる執行内容こそ大事なことである思います。モデル案規程の中にもありましたが、保護者負担軽減、説明責任、公費・私費の負担区分の明確化などを含めた総合的な会計管理を統括することが、学校事務職員の重要な役割ではないかと強く感じました。
最後に、会計事務システム化は校内会計事務を適正に行うためのもの。教員の負担があってもやらなければならないことはやらなければならない。その根拠を明確にしてすすめること。会計主任の役割については、必要かどうかその内容を検討し校長が校務分掌として決めることになるが、専門性のある事務職員から提示することが大事。また、管理職と一緒に改善していくこと、管理職への働きかけの必要性などについて助言がありました。
[MT]
■第2分科会
○望ましい学校教育予算と予算執行にかかる財務会計実践研究(相馬)
公費配当予算の増額要求をする上で、学校の公費・私費を総括した決算書「教育予算資料」が重要な資料となった成果や、公費が増えた後も私費が減額されない問題では、私費の支出内容の見直しをはかっていくなど(例:個人購入していたものを公費で支出し学校備付けとする)、昭和63年度の研究開始時から20年来、試行錯誤しながら継続した研究が行われてきており、たいへんすばらしいと思いました。
発表後はグループ協議が行われ、各地区の現状などを話し合いました。予算要求の有無や学校に配当される予算項目など地区によってさまざまで、中には独自の配当予算があり、学校裁量で執行できるところもあるようですが、どこも厳しい財政状況で公費の予算減と私費の負担が大きいことが挙げられていました。
これからは、限られた公費予算を有効に執行していくだけではなく、より良い学校運営のために、学校の取り組みの中でどこに重点をおいてお金をかけるかといった学校独自の工夫をしたり、保護者負担軽減のために公費と私費とを合わせた“学校総会計”で見直しを図ったりという、広い視点で教育予算を考えていく必要性を感じました。
また、事務職員だけで取り組むのではなく、教職員の関心や理解を深めながら、共通理解の中で問題に取り組んでいく姿勢も大事なのではないかと思いました。
[MK]
■第3分科会
○効果的な備品管理の一手段(郡山)
-パソコンを利用して備品配置図を作成しよう-
エクセルを使って校内の平面図を作成し、そこから各教室へのリンク(詳しい配置図)を作成するという分科会でした。実践しながらの研修でしたが、わからない時は近くのサポーターがその場でわかりやすく教えてくださったので、とても助かりました。もちろん帰って復習しなければ身に付きませんが‥‥。
ハイパーリンクの方法は初めて知りましたが、これもたいへん勉強になりました。
この配置図を見れば備品の場所が一目瞭然で、照合の時間も短縮され、事務職員も含め職員の負担が軽くなるだろうと思いました。ぜひ自校化して活用したいと考えています。詳しい備品配置図を作るまでにかなり手間と時間がかかりそうですが‥‥。
ただ時間の関係で、検索もできる備品一覧表の作成方法などが説明されなかった事がとても残念でした。機会があれば勉強して作成してみたいと思っています。
[KY]
■第4分科会
○行政との連携における学校事務改善と標準化に向けて(企画推進委員会)
-市町村合併に伴う課題解決のための実践と展開-
現在三春町事務職員会では、町教育委員会との連携を図りながらさまざまな事務改善を目指していますが、他市町の状況についてもたいへん興味があり参加しました。
どの地区も、組織等発足の要因は市町村合併時の混乱とされていて、事前の合併協議において学校側の意見が取り入れられる機会があまりなかったとのことでした。しかし、各地区ともこれまでの事務研活動の成果を生かすためさまざまな形で連携を図っており、これを機に幅広い事務改善が図られるのではと期待できる内容でした。
中でも、田村市については市事務研活動ともリンクしていて、また市教委で要綱制定まですすめようとしています。市教委の他、校長会や教頭会とも連携しての委員会が設置されており、事務研活動の諸課題解決の場としても期待できる組織だと感じました。
今回の発表を参考に、三春町においても町事務研を通じて田村市と同じような環境が整うよう町教育委員会との連携を深めていきたいと思います。
[KK]
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