いろんなものが育ってある程度にまでなる頃‥‥なのだそうです。森や山の様子、農作物、なるほどなぁと思いますね。
今日はまたものすごく天気のいい日でした。風も雲もなくまさに青一色の空。タバコ畑の畝を覆っているビニールシートにも空が映って、真っ青な風景が広がっていました。こんな天気のいい日もデスクワーク。何とももったいないことで‥‥。
水稲もそうですが、葉タバコもしっかり育ってきています。かつては日本一の生産量を誇っていたこの地域の葉タバコも、今やすっかり減ってしまって、こういう風景も珍しくなりつつあるほどです。もちろん否定するものではないし、相応の需要があるから続けているのだろうとは思いますが、自然食品、有機野菜、ますます健康に注目されている中で、身体に害のある作物を栽培するって、どう見たってこの先また盛り返すとは思えません。
実家も田んぼと葉タバコが中心の農家でした。夏になると収穫した葉タバコを5mくらいの長い縄に1枚ずつ挟んでいく「タバコはさみ」という仕事が待っていました。1本に何枚くらい挟めたものか覚えていませんが、手にヤニが付くんです。ベトベトで真っ黒になります。作業後に石けんでいっしょうけんめい洗うんですが、何日も続けていると指先が黄色く変色していくんですね。収穫してくる大人の手なんかもう真っ黒でしたよ。大人になってあまり気にもせずタバコを吸っていましたが、やめて何年も経った今はその真っ黄色・真っ黒ぶりなど思い出すと恐ろしく感じますね。
さて、そのタバコはさみ1本で10円とかもらえたわけです。1日50本やれば500円になったわけで、それなりのバイトになっていたのでした。もちろん安いっちゃ安いんですが、お盆前に親が精算してくれるわけです。いやいや500本もやったのかすごいなぁなどとほめられ、3,000円とかもらいます。兄はもう少し多かったから当然なんですが5,000円とかもらいます。嬉しかったなぁ。それでお盆休みには何か買うんですね。そういう家庭が多かったのではないかと思うんですが、計算が合わないんですよね、後で冷静になって考えると。
もう少し大きくなると、本数もかなり増えます。単価もそれなりに高くなっていました。相場みたいなものがあってね。するとお盆前に親は子に対して何万円も精算しなくちゃいけなくなっていました。さすがに数万円もらおうなんて気はありませんでした。苦しさも感じていたし、部活だ何だかんだで迷惑もかけていましたから。
そんなことを考えるようになって初めて、実は何本でもいいから手伝いをしてもらうことが目的で、お盆前には然るべき小遣いをあげていただけだったんだということに気づいたんです‥‥。
葉タバコは夏のたいへんな作業だけで終わるのではなくて、その後よく乾燥させて、選別して荷造りをして出荷するのは冬です。そこまで金は入ってきません。米だってそうです。それですごい金が入ってくるわけではなくて、いろんな経費を差し引くとそんなに余裕はありませんでした。その合間に季節ごとに短期間で養蚕もやって、それでなんとかつないでいたんでしょうね。
で、繭や米や葉タバコを売って、そうして収入があったときは食卓が何かちょっとだけ多かったり、おやつにまんじゅうが登場したり、決して豪華ではないんですが家庭に何か明るいものがあったものです。場合によってはお小遣いもあったような‥‥。手伝いなんかしたくはなかったんですけれど、そういう過程で家族が力を合わせて働くってどういうことか、家族ってどういうものか、いろいろなことを感じて覚えたような気がします。
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