いつもの散策路、林を抜けると眼下に街が細長く広がる様子が見えて、ちょうど峠を越えるような風情のところがあります。その街を眺めるように咲いているリンドウの凛とした様子を撮ってみました。
ぶれないように息を止め、再度構図を確認し、花の微妙な揺れが収まる瞬間シャッターを切って、大きく息を吐きながら写り具合を液晶モニタで確認します。まずまずか‥‥なんて思った瞬間、「おはようございます」と背後から声をかけられてドキッ!としました。いい感じに草も刈り込んであり足音がしないから人の気配も感じないんですよねぇ。
でも驚いた様子はかっこ悪いような気がするから、平静を装って「おはようございます」と同じように返事をします。
改めて振り返ってみると、写真家の中村ノブオさんでした。なんでなんで?
ときどきこのあたり歩いて撮ることもあるんだとのこと。法蔵寺の蓮を撮りに行く途中で、ちょうどヤマユリが咲き乱れていてそれがだいぶ良かったみたいです。
こんなところで写真を撮ってる人あまり見ないけどとおっしゃいますが、自分毎週のようにここ歩いてて(時間帯が違ってたんだなぁ)こういう草花とか風景とか、まぁ見ていいと思ったら何でも撮ってるんですが、同じものを撮っても光の具合とかで全く違うから、ぜんぜん撮り飽きないんです、なんて話をしました。中村さんも、そうなんだよねぇ、みんなわざわざ遠くへ出かけていって撮るけど、自分もここで充分撮れるんだなぁ、そういう感覚が三春ならではなのかどうか‥‥というような話でした。ですよねぇ。
御殿様がいた時代はともかく、今はもう郡山市と田村市とに挟まれた小さな小さなかつての城下町です。その城下町らしさも次第に消えつつあります。ここには蔵があったのですが、地震の影響でしょうかね、残念ながら取り壊されてしまいました。
ただ、ここにぽんとモダンな建物が建つことはなく、建築するとしたら三春らしい景観を保つ基準に沿ったものになるはずです。それはすばらしいことですね。
桜川の河川工事が下流からどんどん進んでいます。コンクリート擁壁なんかでざっと仕上げてしまえば簡単だし費用もかからないのでしょうが、石垣も残しながら、単調にならないようところどころに階段もあったりして、完成が待ち遠しいし、5年後10年後の様子が楽しみでもあります。
それより上流のこのあたりはこれからです。移転するスーパーで表通りはにぎやかになるでしょうが、いわゆる裏通りの風情というか古い城下町の静かなたたずまいが残るようにしてほしいと思う反面、裏通りならではの活気があふれるようなまちづくりがすすむのもいいんじゃないかと思っています。
その鍵を握るのが若者ですよね。福島の商都・お隣郡山市のような何でもあるところが、若者にとっては手っ取り早くて楽しくていいんでしょうが、三春ならではの暮らしやすさを見つけてほしいんだなぁ。そのために町を維持していかなければならない。そのために人が集まってこなければならない。そのために暮らしやすくしなければならない。この課題ループ‥‥。
地域の若者の集まりと言えば今はせいぜい消防団ですが、消防団が地域ごとにしっかりとした活動をしています。今日は消防車などのポンプ性能を一斉点検していました。休みだというのに朝早くからたいへんだけど、でもそうやって地域の活動に関わること、若者同士が関わることが大切なんですよね。
そういう彼ら若者の声もぜひまちづくりに活かしてほしいと思うんです。そんなところに課題ループを抜け出す何かが見えてくるような気がするんだなぁ。じじい、おとっつぁんばかりの町じゃないんだから‥‥。
あ、自分は中村さんの意見をお聴きして今後の写真に活かしてみたいもんです。まぁぜんぜん次元の違う話ですけどね‥‥。
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