180度、もう「いいばい」す

　なんか左膝のあたりがスースーすると思ったら、ジーンズが裂けてしまっていた。もう何年も穿いてきたヤツで最近はこのあたりずいぶん擦れて薄くなってきたなぁと思ってはいたんだけど、ジーンズって最後はこんな感じで破れていくのか‥‥と妙に感慨深いものがあったりする。
　そういえばさっき下からのアングルで撮ろうとしゃがみ込んだときに、ツツー‥‥でもない、ビビー‥‥でもない、なんかそんな音がしたのがそうだったのか‥‥。でも今はもっと破れたって穿いてる人がいっぱいいるから、まぁどうってことねぇやと、そう思って歩くのだった。

　雪の山道を歩き、街を歩き、あちこち見ながら、背伸びをして写真を撮ったり、しゃがみ込んで撮ったり（ビリッ）、また歩き出してシャッターを切り、帽子を後ろ向きにしてファインダを覗き込んだり、思わずしゃがみ込んで構図を確かめたり（ビリッ）しているうちに、あっという間に膝小僧が出てくるほどに‥‥。

　つーわけで、いやいや、これまた180度の視界が開けるほど右から左まですっかり破れてしまったのだ。ジーンズと言えば自分はリーバイス。ビンテージものなんか買えないから普通のヤツなんだけど、それだって安くはない。安くはないけれどもともと作業着なんだからガンガン穿けばいい。
　だけれど一応自分のランク付けはあるのだ。よそ行き用はできるだけ丁寧に汚さないように穿いて可能な限り洗わない。今日穿いてたヤツは前述のようにガンガン穿く。その中間にもう一本あって、まぁいろんな意味でどっちにも対応するというか‥‥。
　若者と違い、すっかりじじぃの仲間だからこんなに破れてしまっては穿けないな。膝の寒さが身体全体に染み渡っちゃうし‥‥。次の一本を買ってまた３本態勢にしておかなければ。
　もう３年以上穿いたリーバイス、もういいばい‥‥、ってところがじじぃだとよく言われる。あれ、じじぃ？　そうそう、破れたとき、ジジィー‥‥って音だった。くそぉ！