2カ月入院・4年半通院した病院から新しく開業したところへ転院した。手術もしていただいた主治医だからである。大きな総合病院と違ってこぢんまりとしたお医者さんという感じである。お祝いの花がたくさん飾られていたが、ユリの香りが際だっていた。
診察が月曜日(と水曜日)の午前中しかなかったので、イヤがうえでも休みを取って行かなければならなかった。それでも半日で済んでいるうちはよかったのだけれど、なんか患者数がものすごく増えて時間がかかり、異動で勤務場所が遠くなってたどり着くまでに時間がかかり、ほとんど1日がかりになってしまって困っていた。通院し始めの頃は自分の身体のためなのだからと、あえて休むことの意味を自分に言い聞かせたものだが、4年も経った現実というのはいささか不本意ではある。
新しいお医者さんは基本的に日曜・祝祭日以外毎日やっている。土曜日もやっている。休みの日に行けるのだ。これはありがたい。夕方7時までやってるから、いざというときも頼りになる。
何となく「やっぱり総合病院だよなぁ」という感覚はあった。が、例えて言うなら「流れ作業」のようだったと感じないこともない。受付マシンはそりゃぁすごいシステムだ。が、月に1度通院の自分は保険証確認のため結局は普通の受付にも立ち寄らなければならない。そりゃぁ大多数の方には便利なのだろうけれど少数派には意味がない。次は診療科の窓口に診察カードを置いてずっと待たされる。「現在10番台です」という表示もするようになったが、実は気休めになっていない。検査がある日はまた別のルートがあり、その内容によってあっちこっちが前後する。最後にまた終了受付マシンでチェックをし、電光掲示板を見て会計終了を確認し支払いを済ませて処方箋を受け取る。まぁ自走式だがベルトコンベアにでも乗ってあっちこっちとデカい病院内を右往左往するようなもんで、つまり健康じゃないと総合病院通院はたいへんなのである。ん?
しかし今度は違う。受付では若い女性が迎えてくれる。それはともかく、画面に表示される「受付完了」の文字を確認してピーピーピーとやかましい確認音とともに出てくる受付票を引きちぎって診察科へ行くのとは大違い。「少々お待ちください」と大きくゆったりしたソファを案内されるのだ。ぎゅうぎゅう詰めの連結椅子なんかじゃないのだ。9時の診察開始だというのに8時ちょっと過ぎに受付しても15番くらい。ひとり最短5分でも1時間ちょっと、まぁだいたいは1時間半はかかる。つまり2時間半も待っていなければならない。これまではいつもそうだった。今度は10分と待たない。あれこれメモっておこうとPalmを持ち出したのだけれど、書き始めたらすぐに呼ばれてしまった。問診は全く変わらない。同じ先生だから。最初だし血液検査をした。わざわざ別に予約しなくてもその場でできる。結果もすぐわかる。レントゲンも撮った。以前はデカいフィルムを映す方式だったけれど、ここは「最新のすごいの入れたから」とデジタル画像を見せてくれた。解像度はかなり高そうだ。診察が終わると会計もあっという間に終わる。なんだなんだ、ソファに座ってもうしばらくのんびりしていたかったのに‥‥っていうくらいあっさり終わってしまう。もちろん大急ぎの診察なんかじゃなくてゆったりとしているのだ。
総合病院を否定するつもりは毛頭ない。さすがは総合病院だと思うことも少なくない。大きなところはそうやって効率化しないとやっていけない。しかしこうしたマチの小さなお医者さんも、なかなかどうしてすごいなぁと思うのだ。同じ医師を違う環境で比べると、なるほどなぁと感じるのだ。
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