去る27日、町の主催する「内部被ばく量測定結果に関する勉強会」が開催されたので参加してみました。教育委員会主催だからでしょう、保護者(PTA)の方々や教職員の方々がほとんどだったような気もします。いわゆる動員ってところもないわけではないのかな。自分は自主的参加ですが。
結論から言ってしまえば、ホールボディカウンタ(WBC)による内部被ばく量の測定結果では、94%強の被検者が検出限界値を下回り、20Bq/kg以上で陽性となった8名についてもその後の検査で限界値を下回って、現在放射性セシウムによる慢性的な内部被ばくにより預託実効線量0.01mSvを超える人はほとんどいない、ということです‥‥。
[報告1]給食食材検査結果と今後の方針(教育課)
町では、幼小中給食の食材について昨年11月から放射性物質の検査を実施している。前日に6品目を選んでベクレル調べるセンターで検査。米も含めて下限値を下回る食材のみ使用している。一度だけ基準値をわずかに上回ったことがあったが、前日計測しているためその食材は給食には使用していない。
給食まるごと検査も何度か実施したが、いずれも下限値を下回った。安心・安全な給食を提供するため、今後はひらた中央病院の協力も得ながら毎日実施していくことにする。
[報告2]ベクレル調べるセンターでの検査結果(住民課)
センターで、食品等の放射性物質(セシウム)検査を行っている。昨年9月13日〜本年6月21日までの結果は一覧表のとおりだが、野菜、豆類、山菜等の分類によって特長がわかってきた。
以下、分類ごとに基準値 100Bq/kgより高い数値の出たもの。()は最大値。
・野菜
‥‥芋ガラ(236)、ゴボウの葉(195)、ホウレンソウ(240)、ヤーコンの葉(1,66)など
(ホウレンソウは検体数が多い中での数検体)
・豆類
‥‥青豆(107)、小豆(200)
・山菜・キノコ
‥‥シイタケ(2,208)、タケノコ(162)、タラの芽(285)、ワラビ(423)など
(おおいちょうたけ 9,138、びわの葉 26.859 など、突出して多いものもあるが
検体数が極めて少ない。一般的にキノコ類は数値が高い)
・穀類
‥‥玄米(110)
(米は検体数がたいへん多い。白米では最大で51)
・果樹
‥‥柿(280)、キウイ(380)、ブルーベリー(197)、ゆず(339)
(柿やキウイは高め)
・加工食品
‥‥梅干し(449)、乾燥シイタケ(4,600)、干し柿(643)など
・その他
‥‥イノシシ肉(1,103)、ヤマカシュー(1,212)、イチョウの葉(973)、米ぬか(138)など
ここに挙げた品目の全てが高いわけでない。極端に高いものがあったり、ばらつきがあることも事実。これらの結果から傾向等を知って気をつけることが大切(数値が出なかったから安全とも一概には言えない)。
[報告3]ホールボディカウンタ(WBC)の測定状況(保健福祉課)
小中学生を中心にひらた中央病院で 1,524人が測定。また今後、4歳未満の未就学児童 162人、小中高生 43人、大人も含めて総勢約 400人が福島県WBC車で測定予定。
小中学生は学校単位で町のバスによる送迎で実施。検査費用は全員無料。また、計測結果については、県から直接本人宛に郵送される。
[講演]WBCによる内部被ばく量測定結果から見える三春町のこれから
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 宮崎 真 先生
講演の内容については、伝えきれない・伝えにくいこと、それから細かいことや語弊もあるでしょうし、捉え方もいろいろなので、あえてざっくりと書いておきます。
・外部被ばくと内部被ばくとを分けて考えること
いかに被ばく量を減らすか
・実効半減期や預託実効線量の考え方
放射線の種類と摂取量の求め方
・WBCで見えるもの
複数回数測定の有効性
三春町での検査結果概要
ひらた中央病院、南相馬市の公表データ
・三春町WBC結果のまとめ
預託実効線量実効線量 0.01mSvを超える人はほとんどいない
有限値検出(ごく低いレベル)の原因は食事と考えられる
消費者かつ生産者の立場
陰膳検査、給食まるごと検査の必要性
・食品類の放射線量の状況
3月以降のデータ
作物吸収と表面不着
二次的汚染
乾燥濃縮
・食事によるほんとうのリスクとは
関心が高い場合はリスクが低い
福島から離れれば安心か
・食品の暫定基準値と新基準値
基準値の実際
内部被ばくを計算してみる
WBCで有限値が出る慢性摂取目安
資料からある程度のポイントを自分なりに書き出してみました。もちろんこれ以外にもあるのですが、要はリスクマネジメントではないかと自分は思います。
放射性物質・線量の話は、結局のところこれだという答えは出てきません。摂取しないことに尽きる、それは言わずもがなですが、福島に・三春に住むことを選択した以上は、いかに被ばく量を減らしていくかが重要なわけです。これも当然ですね。
じゃぁ年間どれだけならいいのか‥‥というその基準値に一喜一憂するだけではあまりにも短絡的だなぁと思います。摂取していいはずはありませんが、それが一時的なことか常態化しているかでは全く違います。
ここに住むと決めたそのリスクをいかに低減化して生活するかです。住み慣れた自分のマチで生きることの幸福感は、自分は今だからなおさら強く感じています。
例として適当かどうかわかりませんが、ガンの発症率が高いと言われているタバコを吸う人がいます。受動喫煙だって問題になっています。そのリスクはいかがでしょう。自分は40歳まで吸っていましたが今は恐いのでやめました。受動喫煙はありますが、月に数回の飲み会の席などでのことなので気にはしていません。アルコールはどうでしょう。過度の摂取は肝臓をはじめとした内臓疾患、生活習慣病に大きな影響があります。それは知っていても毎晩飲まずにはいられない。タバコはともかく酒を取り上げられたら死んだ方がマシだなんて言う人もいるようですが、自分そこまでは‥‥でも飲んでます。
先日末期ガンで亡くなった知人は生前めったに病院に行かなかったそうです。弱カスの自分は医師のすすめどおり薬は欠かさず通院も欠かさず、大病を患った割には普通の生活をしており、今後それなりに生き長らえるかも知れません。
これらの例は「放射線ホルミシス」なんかとオーバーラップしそうですが、それは未確認なところが多分にありそうなのでそのまま受け入れようとは思いません。逆に完全否定する人もいて然りです。
専門家はその専門の立場でしか言わないからAはA、BはBであり、AかBかではないんですね。どちらかを選択する問題ではないと思うのです。我々素人としては、いや自分は、A・Bそれぞれの正しい情報から現実的な低いリスクの方を選択していくしかありません。だからこそ、正しい情報が常にオープンにされることが重要ですし、何かを煽るような行為などは厳に慎むべきです。
とどのつまり、リスクをいかに回避しながら事故前のような普通っぽい生活を営んでいくか、リスクマネジメント力を高めていくことが重要だと思います。自分は自分、それだけで済む問題でもありませんから、同じ地域に済む者同士が連係していくこと、コミュニケーション力も重要になってきます。つまり、互いの知恵や力を出し合い助け合って生きていく、そういう三春らしい生活の在り方を見直していく必要があるんだなぁと前向きに考えてみた次第です。
追記:
学校ではどうか。やはりゼロは無理だと思います。が、ゼロを目指した環境整備をすすめていくことは学校教育の最低限の条件でしょう。
事故の背景、放射能の危険性なども正しく教えなければ放射線教育は意味がありません。放射線量の値などその実態も同様です。そうした環境においてどのように生活すれば被ばく量を減らすことができるか、内部被ばく、外部被ばく両面から考えなければなりませんが、そもそも放射線教育に充てられる時数ってそれほど多くないんです‥‥。
まだまだ普通の生活には戻っていない現状ですが、本年度は一時的に止まっていたあれこれが堰を切ったように学校に下りてきてしまっています。一方で放射能による制限、一方でこれまで以上の取り組み推進、児童生徒も教職員もいっぱいいっぱいの感‥‥。
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