４年に一度の日

　今日が誕生日の人は歳を取らないとか、結婚した日で実はまだまだ１年目なのでラブラブですとか、４年に１回の肉の日だとか、それぞれに思いのある閏年・2月29日であります。私にとっては‥‥８年前に退院した日なんです。またその話か‥‥という気もしますな。

　術後の経過はまずまずだったんですが、当初の話では３月いっぱいは入院ということだったから、自分もそんなもんだと思ってたのです。とにかくリハビリせねばと、階段の上り下りとか院内の隅々まで歩くとかやってて元気も取り戻したし、もうそろそろ外出許可を願い出てみようかと、そんなことも考えてはいたのですが。
　と、「もうそろそろですね」という主治医の話が先にあって、ようしそれならさっそく今度の休みに外泊しよう、そう思ったんですが、「もう退院して大丈夫です」とのこと、驚くやら気が抜けるやら‥‥。
　退院が決まってからというもの、それまでのさまざまな制約から解放されるような気がして、退院したらアレを食べようとか、こうしようとか、そんなことばかり考えていました。今後１カ月の日課表とか作ったりして‥‥。
　「ラーメンが食べたい」。迎えに来てくれた義父がお昼をおごってくれるというのでそう言ったんです。ホントは「○○屋」みたいなこだわりの一杯を「っあぁ‥‥」みたく食べたかったんだけど、それが近くのヨーカドーのファミレスになっちゃって‥‥。ま、おいしいんですけどね‥‥。
　もうひとつ、これだけは外せなかったのがビールだ。浴びるほどとは言わないけれど、何杯もとは言わないけれど、小さなグラスにトクトクといいあんばいの泡を立てたキンキンのそれを一気に飲み干してみたい‥‥毎日そればかり考えていたのです。
　その日の夕食のとき、私はそれを実行しました。ホントにおいしかったです。だけど思ったほどの感動でもなかったんだなぁ‥‥。ビールなんかよりラーメンなんかより、家に帰ってきたそのことだけで充分だったんです。