事務室の前に大きな水槽があって、そこにはすぐ裏を流れている大滝根川で獲れたというハヤが飼われている。自分がここに来たときはもういたんだから、5年以上は生きているわけだ。あの頃と比べればずいぶん大きくなった。
年に何度か掃除をするのだが、今年は昨日水の入れ替えなどが行われた。が、今朝見たら1匹どうも元気がなくて、見る見るうちに弱っていくような感じだった。誰の目にももう長いことはないだろうと映ったようだ。週末だし月曜日出勤したらどうなっているものやら‥‥なんてことを考えると、何か手を打たないわけにはいかなかった。
そもそも川で生きている生き物なのだ。川に帰すべきだと思った。もう一人の職員もそう言うし、そうと決まれば1分でも1秒でも長く川で泳いだらいいと思って、すぐに網ですくいバケツに入れて川に向かった。写真を撮った。そして少しずつバケツごと川の中に入れていくのだけれど、なんか出て行こうとしないように思えた。ちょっとかわいそうだなぁと思いつつ、ハヤく行けよ‥‥などと励ますみたいな独り言がついて出る。少し向きを変えると川の早い流れに吸い込まれるようにふらふらっと出て行った。
ただ流されていくだけのようだった。一瞬で見えなくなった。でもきっとすぐに自分の力で泳ぎ出したはずだと思っている‥‥。
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